『日経ビジネスONLINE』山根一眞連載「ポスト3・11 日本の力」東日本大震災の「現実」を風化させないために被災地取材写真<高画質大サイズ判>の公開を開始!"The Great East Japan Earthquake"  Image Gallery By Kazuma Yamane

 

東日本大震災の現実を風化させないために
被災地取材写真<高画質大サイズ判>無償公開 004
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東日本大震災 山根一眞取材写真 2012年8月20日公開 宮城県石巻市北上町十三浜白浜  


     

撮影日時:2011年4月3日
撮影場所:宮城県石巻市北上町十三浜白浜
撮影者 :山根一眞 Kazuma Yamane

写真説明:
 石巻市とはいうものの北上町十三浜は「市」という名のイメージとはまったく異なる僻地漁村地帯だ。国道398号線を北上河口から東上すると、太平洋を望む切り立った断崖沿いにアップダウンが続き、また、いくつかのトンネルを抜ける。この
写真はそのトンネルのひとつ、白浜という小さな漁港を抜けてすぐのトンネル内である。
 ここに至る途上、日本登山医学会の医療支援チームのクルマとすれ違った。そこで一時停車し情報交換したのだが、齋藤健太郎医師(東京・恵比須 山の診療所)が「この先の白浜トンネル内に津波の痕跡が残っていますよ」と口にした。
 そこで、そのトンネル内で一時停車して撮影したのがこの写真なのである。
 もっともトンネル内の照明装置は消えており真っ暗だった。だが、携えていたデジタル一眼レフカメラ(NIKON D3)はISO6400に設定すると夜の街でも昼のように撮れる。その超高感度設定で十数枚撮ったところ、数枚だがトンネルの天井から側面にかけて津波が通り抜けた「痕跡」をとらえることができた。
 この後、訪ねた大指である奥さんからこんな話を聞いた。「大きな揺れによるショックで体調を崩した人がいたため、クルマに乗せて診療所に向かった。巨大津波が襲来するとは思ってもみなかったが、それはやってきた。
トンネル内を走っていたところ、出口から津波がトンネル内に押し寄せてくるのが見えた。そこで、あわててクルマをバックさせてトンネルを出て高台に移動、難を逃れた」
 まるで映画『インディージョーンズ』の一シーンのような体験だ。
 白浜トンネルは漁港のすぐ脇に入口があるため標高はきわめて低い。数十メートルの高さで押し寄せた津波は、当然、このトンネル内を抜けていったのである。
 私が被災地を訪ねたのは3.11から約3週間後ゆえ、津波に破壊され尽くした町や村は数限りなく見たが、津波そのものの痕跡を見るのは初めてだった。
 宮城県石巻市北上町(被災時人口3720人、約1020世帯)の被害:死者185名、行方不明者80名、家屋の全壊・全流失633棟、半壊と一部損壊が463棟。(2011年3月末現在、宮城県漁業協同組合北上町十三浜支所による)

この写真についての問合わせ先:山根事務所